飲食店にとって今まで、「来店して飲食代金をいただく」という方法で売上を確保することが当たり前でしたが、最近では来店以外の売上ポイントを作ろうと様々なサービスやツールを導入する店舗が増えてきています。
そんな中、飲食業界では「DX」という言葉が1つのキーワードとなっています。
しかし、一言に「DX」といっても飲食店にとってどんなメリットがあるのかわからない、どのようにDX化を進めていけば良いのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、飲食DXとは何か・どんなことをしているのか、実際に飲食DXに成功している飲食店の事例を用いて解説いたします。
<目次>
飲食DXとは?
DXとは「Digital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)」の略で、デジタル技術を活用して組織やビジネスモデルを変革し、人々の生活をより良いものにする動きのことです。
飲食業界においてのDX化「飲食DX」とは「デジタル技術を活用し、ビジネスモデルやバリューを根幹から・継続的に変革したり、新しい価値を創出したりする」ということになります。
単なるデジタルツールの導入ではない、ということが重要です。
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飲食DXの根本にある「デジタルツールの活用」
飲食DXとは単なるツールの導入ではなく、デジタル技術を活用して新しい価値を創出することです。
しかし「デジタルツールが重要なことは分かったけど、その活用方法が分からない」「そもそもITは苦手だ」という飲食店の方も多いのではないでしょうか。
そこでここからは、実際に飲食DXに成功している飲食店の事例をもとに、活用しているツールとその活用方法を具体的に紹介していきます。
顧客データを活用して飲食DXに成功している飲食店『29ON』
完全会員制レストラン『29ON』では、店舗全体の顧客管理に有効なツールを導入し、蓄積された顧客データに基づいた接客を提供しています。
さらに接客だけではなく、事業やメニューの計画立案、店舗への集客もDX化し、データを活かした店舗運営をしています。
今回は『29ON 表参道店』支配人の佐藤浩平さんにご協力をいただきながら、飲食DXに必要なデジタルツールの活用方法について解説していきます。
株式会社29ON『29ON 表参道店』支配人
佐藤 浩平 氏
サブスク型飲食店『29ON 表参道店』『すしおん 表参道』の支配人として従事。
店舗DX化の責任者かつサービスマンとして技術を磨く一方で、飲食店のDXをつき詰めたことを日々研究している。DX化を推進し、日々顧客管理ツールを使用し、お客さま一人ひとりに合わせたサービスを提供中。
完全会員制レストラン『29ON』とは?
『29ON』とは、「焼かない焼肉屋」をコンセプトに都内に4店舗・沖縄に1店舗を構える完全会員制・完全予約制の飲食店です。
完全会員制のため、「特別感」を求めて来店されるお客さまが多いことが特徴です。
飲食DX成功店『29ON』でのデジタルツール活用方法
佐藤:
『29ON』では、オープン当初から様々なデジタルツールを使用し、積極的に飲食DXに取り組んでいます。
今回は、実際に『29ON』で使用しているデジタルツールの例を用いながら、「どうやって活用しているのか」「活用することでどんな良いことがあるのか」をご紹介します。
①全体の顧客データ管理
使用ツール:「favyサブスク(ファビーサブスク)」
『29ON』は会員制・サブスク型のお店です。全体の会員管理には「favyサブスク」というサブスクツールを利用しています。
お店ごとの会員数の推移や解約率が把握できるので、それらを見ながら会員の数を一定に保つようにしています。
②集客
使用ツール:「Benchmark Email(ベンチマーク・イーメール)」
飲食店にとってもっとも大事なパートとも言える「集客」に関しては「Benchmark Email」というメール配信ツールを使用しています。
多くの飲食店の場合、「新メニューのお知らせ」や「営業時間の変更」はSNSやPOP・チラシなどで告知していると思いますが、『29ON』ではお客さまへのお知らせはほとんどをメールマガジンで行っています。
「Benchmark Email」は感覚的に使いやすいことが特徴で、特別な技術や経験がなくても画像や動画、リンク付きのボタンを入れ込んだメールを簡単に作成することができます。
さらにメール文面を自動で分析してくれるので、「より開封されやすいメール」を最小限の手間で作成することが可能です。
③予約〜来店対応、メニュー開発・企画立案
使用ツール:「トレタ」
『29ON』ではお客さまの予約管理、来店時の対応を「トレタ」を活用して行っています。
「トレタ」の特徴は、細かくお客さまの情報を管理することができることです。「何回目の来店なのか」「どんな料理/お酒が好きなのか」「以前の来店でスタッフとどれくらいの距離感で接していたか」など様々な情報を残しておくことが可能です。
そのため、お客さま一人ひとりに合わせた接客が実現できます。
また、このデータはグループ店舗間で共有することができます。
例えば、表参道店へ初来店されたお客さまに対して「以前は銀座店へご来店いただき、ありがとうございました。本日は〇〇さまのお好きなワインを用意してお待ちしておりました。」というような接客ができるようになるのです。
さらに、「トレタ」に蓄積された顧客データをメニューの開発や企画立案に活かすこともできるんです。
『29ON』では月によって異なるメニューを用意しています。「トレタ」では人気だったメニューを分析することができるので、過去にお客さまに人気だったメニューを参考にしながらメニュー案を企画しています。
実際に昨年、本来売上が上がりにくい月に前年人気だったメニューを割り当てることで、売上を伸ばすことができました。
④来店以外の売上づくり
使用ツール:「BASE(ベイス)」
『29ON』では、会員さま限定ではありますが、「BASE」で通販・テイクアウト商品の販売を行っています。
「BASE」は購入において会員登録が必要なく、操作も非常に簡単なのでお客さまの負担が少ないことが嬉しいポイントです。
昨年末、初めて「29ON特製おせち」を販売しました。もともと20個限定で販売を予定していたのですが問い合わせが相次ぎ、最終的に120個販売いたしました。結果として、12月31日の1日間だけで240万円の売上を作ることができました。
通常とは異なるキャッシュポイントでもしっかりと売上を確保でき、『29ON』の中でも大きな成功事例の1つです。当時シェフ陣からは嬉しい悲鳴が聞こえましたが…(笑)
⑤社内での情報管理
使用ツール:「Quip(クイップ)」
イベントの企画やメニュー開発、メールのテンプレートなど、社内の情報はすべて「Quip」というツールにまとめて全メンバーが閲覧・編集できるように共有されています。
『29ON』スタッフ含め、飲食業界で働く人々にとって「文書をわかりやすくまとめる」という業務はものすごく難しいんですよね。「Quip」はその悩みを解決してくれて、誰でも簡単にある程度のクオリティの文書を作成することができます。
作成した文書はどんどん蓄積されるので、過去の情報を簡単に見返すことができるという便利さも「Quip」を利用している1つの理由です。
デジタルツール選定のポイント
ここまで『29ON 表参道店』支配人の佐藤さまに実際に活用しているツールとその活用方法をご説明いただきました。
飲食DXにおけるデジタルツールを選ぶポイントは「スタッフの負荷を最小限に減らしながら導入できるか」です。「簡単に」操作ができるデジタルツールかどうかが重要になってきます。
デジタルツールを導入したことによって現場のスタッフの作業効率が落ちてしまい、接客にかける時間や工数が減ってしまったら、本末転倒ですよね。
デジタルツールの導入を検討している飲食店さまは、ぜひ『29ON』での活用方法を参考にしてみてはいかがでしょうか。
また、この記事の内容は先日開催されたセミナーをもとに作成されております。
より詳しく知りたいという方は、セミナーのアーカイブ映像をご覧ください。
飲食DX成功事例公開!『29ON』佐藤浩平登壇セミナーのアーカイブ映像はこちらから
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記事を最後までお読みいただき、ありがとうございます。
飲食DXのためのプラットフォームを提供する株式会社favyでは、サブスクを活用した飲食DXのコンサルティングサービスやサブスク機能の提供・運用サポートを行っております。
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