NetflixやSpotify、Amazon Primeなど日本でもすっかり定着したサブスクリプションサービス。複数のサービスを利用しているという方も多いのではないでしょうか?
オンラインならではのビジネスモデルと思われていた”サブスク”ですが、実はオフラインの店舗ビジネス にも広がりを見せています。
カフェ、花屋、飲食店、スーパー、ホテルなど、店舗がなぜサブスクというビジネスモデルを採用するのか?今回は店舗サブスクの種類や効果、はじめかたについて解説していきます。
<目次>
店舗サブスクとは
そもそもサブスクとは?
サブスクとは「サブスクリプション(subscription)」の略語で、定額料金を支払う会員に対して提供するコンテンツやサービスのことです。
よく似た言葉で「定額制」というものがありますが、意味が少し異なります。
「定額制」は予め企業が一定の収益が得られるように商品・サービスの内容を決めて利用者に提供しているもので、例えば交通機関の定期券や、インターネット通信料金などが当てはまります。
それに対して「サブスクリプション」は利用者目線のニーズに合わせて料金やサービス内容が変化するのが特徴です。
店舗サブスクの特徴
サブスクと言えば「〇〇放題」というイメージがあるかもしれません。しかし、店舗サブスクでは他にも2種類のモデルがあります。
店舗サブスク3つのビジネスモデル
①定額使い放題モデル・・・
定額料金の対価として一定のサービスを受け放題となるモデルです。一般的に認知されているサブスクリプションの多くは定額使い放題にあたります。
カフェなど、単価が低い商品の利用頻度を増やすために導入されるケースが多いです。
②割引モデル・・・
会員に対して購入金額や対象商品などの条件下で割引を適用するモデルです。
会費以外の決済ハードルが低い店舗サブスクならではのサービス設計です。
利用頻度をあげつつも、顧客単価を下げたくない飲食店や、スーパーなどに多く導入されています。
③デポジットモデル・・・
会員に対して自由に使える食事券を事前発行することで来店を促すモデルです。自治体発行の食事券などに近い形ですが、定期購入の仕組みを取り入れることで継続的な来店につなげる狙いがあります。
日常的に利用するものではなく、月に1度など来店スパンが長い高級店などで導入されています。
デジタル上のサブスクサービスとは異なり、店舗サブスクでは 定額で支払っている会費以外の決済ハードルが低い ことが特徴です。そのため「会費+利用費」で売上を作ることができ、より自由なプランの設計が可能です。
店舗サブスクの効果
サブスク導入の効果として期待される最大のポイントは「来店頻度の向上」です。
食べ放題や、割引キャンペーン、食事券など実は提供するサービス自体に真新しさや革新的なものはありません。それを会費を払う会員への対価とすることで「お得に使いたい」という感情から「会員だからあの店舗を使おう」という行動に変化します。
その他にも「安定的な売上の確保」「新規の常連顧客獲得」「顧客データ活用によるサービス改善」などが挙げられますが、店舗サブスクのメリット・デメリットについてはこちらの記事をご覧ください
実は簡単!サブスクサービスの作り方
では実際にサブスクを導入するためにはどんなことが必要なのか?ここでは簡単に4つのステップで解説します。
Step1. どんなサービスを提供するか考える。
前述の通り、店舗サブスクのモデルは大きく分けて3種類あります。それぞれの特徴に合わせて自身の店舗にあったサービスを考えてみましょう。
サブスクは定額サービスではなく、 会員の利用実態に合わせて改善していくこと が成功への近道です。まずは今既に実施しているキャンペーンをサブスクに転換することから始めるのも良いかもしれません。
Step2. サブスクサービスの価格設計を考える
会費と対価のバランスは店舗によって様々なので、一概には言えませんが「会費」と「平均顧客単価」「想定される来店数(顧客が元を取るために必要な回数)」でサブスク売上の予測を立てることができます。
例えば、平均顧客単価2,000円、平均来店頻度月2回の店舗が「月額500円の会員券で2000円以上の会計時に10%off」というサブスクを提供し、会員の来店頻度が3回に向上(3回以上の利用で割引の元が取れるため)した場合下記のような図式が成立します。
計算すると、、500円の会員券が12,500円の売上アップにつながることがわかりました
より来店頻度の増加やアップセルを狙えるサービス設計にすることで、サブスクの売上は高くなっていきます。
Step3. 会員券を販売する
サービスの設計ができたら販売方法です。販売方法は大きく分けて2つあります。
①紙の会員券を発行する。
②デジタル会員券を発行する。
紙の会員券
顧客と対面で接する店舗サブスクにおいて紙の会員券は発行しやすく、手軽に始められます。例えば温泉の定期会員や回数券なども紙の会員券を発行している事例としてイメージしやすいのではないでしょうか。
しかし紙の会員券には「複製のリスク」「定期的に対面で購入しなければならない」「顧客の利用状況がわからない」などのデメリットも存在します。
特に上記の計算式にも登場しましたが、サブスクビジネスの鍵となるのが 解約率 です。
どれだけ会員が増えても解約されてはこれまでの一過性のキャンペーンと変わりません。
対面での購入が契約終了毎に訪れる紙の会員券は、それだけ解約の機会を与えることになります。
さらに、顧客の利用状況がわからないためサービスの満足度を把握することができず、 サービス改善につなげることもできません 。
デジタルの会員券
一方で、デジタル会員券は自社で制作することが難しく、開発会社やツール企業に頼らざるをえません。
また、お客様が使いやすい設計になっているか?スタッフが案内できるものか?など運営上のハードルも少し上がります。
しかし、紙の会員券で懸念された「複製のリスク」「定期的な解約リスク」「顧客情報の不透明さ」は解消されており、サブスクサービスに慣れているユーザーにとっては使いやすく継続率も高く維持できるものとなっています。
導入のしやすさでは紙の会員券に軍配が上がりますが、サブスクの命は継続率です。デジタル会員券を提供している企業からのサポートを受けながら始めてみるのも良いかもしれません。
Step4. 店舗スタッフの教育
商品の販売と異なり、会員券の販売は難しいと感じるスタッフも多くいらっしゃいます。
ここでは導入後の課題としてよく挙げられるものをご紹介いたします
・サブスクを案内するタイミングがわからない。POPを設置しただけになっている。
通常商品をご案内する流れの中でサブスクの案内をしましょう。 お客様の目的がわかっている上でのサブスクの提案なのでメリットを伝えやすく確度が高まります。
・特典を説明しても会員になるメリットを感じてもらえない。
お客様に会員になって得られるメリットを具体的に説明しましょう。
トーク例: 「会員になって月に◯回来ればお得ですよ」 「今日◯杯以上ドリンク注文する予定なら会員になった方がいいですよ」など
サブスク会員を増やすためには店頭での案内が大きな鍵となります。これまで提供してきた商品とは違うサービスですので案内しやすい環境づくりとマニュアル化が大切です。
favyでは店頭での案内マニュアルの提供や販促物支援も行なっています。店舗サブスクの導入がうまくいっていないという方は相談してみてはいかがでしょうか?
まとめ
新しいやり方だと思われがちな店舗サブスクですが、実はこれまでの施策をデジタルを活用してアップデートしたものです。
favyではこれまで既に2,500店舗の導入を支援しており、その多くの店舗で来店数の増加などサブスクの効果を実感いただいています。
まずは自店舗がサブスクにマッチするか?どんなサブスクサービスならお客様に喜んでいただけるか?過去の事例を見ながらイメージしてみてはいかがでしょうか。